• ホーム
  • 高齢者のてんかんで気を付けること

高齢者のてんかんで気を付けること

2019年12月04日

てんかんは子どもの時に発症するものと思われていますが、現在では高齢者で初発の人も増えています。
これはてんかんの原因である脳の障害が高齢者では病気によって引き起こされやすいためです。
高齢者でてんかんを誘発する病気の第一位は脳卒中です。また脳のガンである脳腫瘍も原因になりえます。
これらは血流が止まったり腫瘍に侵されたりすることで、脳の一部が損傷してしまう病気です。
その結果として局所関連てんかんが引き起こされる可能性があります。

局所関連てんかんは部分発作です。脳の機能の一部の症状だけが出現するのです。
ところがこの部分発作は症状が小さくて気が付きにくい点が問題です。部分発作には本人が自覚しやすいいくつかのパターンがあります。
例えばわけもなく怖くなったり寂しくなったりあるいは懐かしいという感覚が湧いて来るなどの感情発作が起こります。
またお腹のムカムカ感を感じたりもします。
失語も発作の一種ですし、おかしな音を聞いたり変な光が見えたりするのも発作としてあります。これらは単純部分発作です。

これに対して複雑部分発作というものがあります。これは記憶障害を伴うものです。
こちらは本人では発作の模様が分からない場合がほとんどなので、目撃者が必要になります。
複雑部分発作では動作の停止や口や手が勝手に動く自動症が見られます。高齢者の場合にはこのように非けいれん性の発作が多いのが特徴です。

高齢者は一般的に抗てんかん薬の反応が良好です。
これは若年や成人に比べて薬物代謝や排泄能力が低く、薬の血中濃度が上がりやすいためです。
高齢者の服薬で気を付けなければならないのは合併症です。
通常のてんかん治療で第一選択となるカルバマゼピンは他の薬との薬剤相互作用が大きく副作用が懸念されるので、合併症がある場合には利用出来ません。
レベチラセタム、ラモトリギン、ガバペンチンであれば投与初期にいくらかの注意すべき副作用はありませんが、長期的には高齢者であっても副作用を気にする事なく服用を続けやすいです。

高齢者のてんかんの原因について

脳卒中や脳腫瘍以外にも、高齢者特有の原因でてんかんを引き起こすものにアルツハイマー病があります。
アルツハイマー病は、大脳の側頭葉の内側にある海馬から、神経の障害が起こることが多いといわれています。
海馬はてんかんとのつながりが深い部分のため、アルツハイマー型認知症の合併症として発作を引き起こすことがあるのです。

ここで気をつけなければいけないのが、認知症によるてんかん発作が出たのか、てんかん発作の中に認知症と思われる症状が出たのかの区別が難しいことです。
「自分がどこにいるのかわからない」「この人が自分とどのような関係なのかを思い出せない」などの記憶障害が起きると、本人が高齢であれば周囲の人もまずは認知症を疑うでしょう。
しかしてんかんによる複雑部分発作は突発的で、記憶障害の症状が長くは続かないことが特徴です。
原因が違うと、治療方法も変わります。自己判断をせず、専門の医師に状況を詳しく説明し的確な診断をあおぐことが大切です。

また若年期のてんかんが再発するケースが高齢者にはあります。
症状が治まって数年経過していても、てんかんの種類によっては、再発率が30~40%にのぼるものもあります。
服薬を中止した後も、脳波検査などを定期的に行い経過を見ていくことで、事前に対処することができます。

持病を抱えていることが多い高齢者は、若年や成人に比べ他の薬との合併症のリスクが高く、副作用による身体への負担も懸念しがちです。
しかし早めに専門医に相談することで、原因を特定することができ、適切な治療と副作用のリスクが少ない薬の処方を受けることができます。
自身もサポートする周りの人も、自己判断しないことが、高齢者てんかんと向き合う第一歩になります。

関連記事
小児てんかんで気を付けること 2019年10月26日

何かと心配な自分の子どもが小児てんかんの場合、気を付けることはたくさんあります。過保護になりすぎず、かといって保護者のサポートは必要不可欠です。症状によっては落ち着きがなく集団生活が難しかったり、いきなり倒れたりする神経調節性失神などがあったりと個人差がある病気の為、幼稚園や学校の中の生活では先生に

2019年10月26日
てんかんを抱えてる女性でも出産できる 2019年09月21日

てんかんというのは人によって、程度や症状の強さが異なります。そのためてんかんの発作といっても、いろいろなタイプがあると考えておくのが一般的です。てんかんを持病として持っている人は、定期的に病院に受診し、かかりつけ医に診察をしてもらっているという人がほとんどです。そして生活環境における注意点を指導して

2019年09月21日
てんかん発作は3つに分類される 2019年08月27日

てんかんはてんかん発作を繰り返す脳の疾患であり、年齢や性別に関係なく発症する可能性があるものです。なおてんかんは部分てんかんと全般てんかんの2種類に分類されており、さらに原因によって特発性てんかんと症候性てんかんの2つに分類されています。因みに特発性てんかんは脳に明らかな病変が認められないものであり

2019年08月27日
てんかん治療薬カルバトールの効果と副作用 2019年08月07日

カルバトールはてんかん治療薬のジェネリック医薬品であり、元の薬とほぼ同じ効果が期待できます。ジェネリックは後発メーカーが販売している医薬品のことであり、成分については元の薬と同じですが、ネット通販で購入できることや価格がかなり安いというメリットがあります。てんかんの治療は時間がかかると言われており、

2019年08月07日
てんかん治療薬テグレトールの効果と副作用 2019年07月18日

テグレトールはカルバマゼピンを主成分とする薬です。最初は1963年に、スイスやイギリスで抗てんかん薬として発売されましたが、日本では1966年以来、てんかんや三叉神経痛の治療薬として広く使われている歴史の古いお薬です。1970年ごろからは、カルバマゼピンに躁状態を改善する作用があることが確認され、躁

2019年07月18日
てんかん治療薬ラミクタールの効果と副作用 2019年06月28日

てんかんはそのほとんどが投薬による治療になります。大きくはまずバルプロ酸かカルバマゼピンを投薬されます。これを第一選択といいます。これである程度発作の回数を減らすことが出来ますし、ほとんどこの第一選択だけで大丈夫な例も多数あります。しかし第一選択だけでは完全に発作を無くせない場合には、完全抑制を目指

2019年06月28日
原因として遺伝子要因でてんかんになる 2019年06月09日

てんかんとは、けいれんや失神などを主な症例とする脳の疾患で、100人に1人の割合で老若男女の誰にでも発症する疾患です。脳の神経に異常な興奮性の電気活動が生じることにより、突然倒れて意識を失いけいれんを起こす大発作、自分の意志とは関係なく体の一部が勝手に動いたり、会話の途中でぼんやりしたと思ったら意識

2019年06月09日
原因として脳血管障害でてんかんになる 2019年05月29日

てんかんは、脳の神経細胞が発射している電気的刺激が過剰に出てしまうことによって種々の発作を起こす病気です。てんかんには大きく分けて2種類あって、原因が特定できる症候性てんかんと原因が分からない特発性てんかんがあります。このうち症候性てんかんの原因とは、脳の損傷です。よく子どもの病気と認識されているて

2019年05月29日